ありふれた日常こそ、尊い。


わたしは救急隊員に教えてもらった病院に到着すると、総合受付で凪のお母さんがいる病室を尋ねた。

どうやら、凪のお母さんは整形外科病棟の病室に居るようで、わたしは急いで病室へと向かった。

「お母さん!」

わたしは病室の扉を開けると、斜めに身体が起こされたベッドに寄りかかるお母さんに駆け寄った。

「美月さん。ごめんなさいね、心配かけちゃって、、、。」
「大丈夫ですか?!怪我は?!」
「わたしったら、馬鹿よねぇ。手を滑らせて転んじゃって、足首と肋骨にヒビが入っちゃったみたいなの。」
「頭は打ったりしなかったですか?」
「それは大丈夫よ。急いで来てくれたんでしょ?ありがとね。」
「いえ!凪は今日会議があって電話に出れなかったんだと思います。わたしからLINEで連絡してあるので、会議が終わったら来ると思います。」

そう話していると、看護士さんが病室へやって来て、わたしは「天海さんの親族の方ですか?」と訊かれた。

"親族"、、、

わたしがどう答えようか迷っていると、先に答えたのは凪のお母さんだった。

「息子のお嫁さんになる方です。だから、わたしの娘ですよ。」

凪のお母さんの言葉にわたしがふとお母さんの方を向くと、凪のお母さんはフフッと笑っていた。

「先生からご説明があるので、天海さんの息子さんがいらっしゃったら、声を掛けていただけますか?」
「分かりました。」

看護士さんはそれから凪のお母さんの様子を確認してから、病室を出て行った。