ありふれた日常こそ、尊い。


それから何も無い穏やかな日々が続いていたと思っていた時だった。

仕事中にわたしのスマホが振動し始め、ふと見てみると知らない番号からの着信だった。

普段知らない番号からの着信には出ないわたしだが、何か嫌な予感がして、わたしはスマホを゙持ち席を外し、急いで事務所から出ると電話に出た。

「はい、もしもし。」

すると、わたしの不安は的中し、着信相手は救急隊員の人からだった。

どうやら、凪のお母さんが歩行器に掴まって立とうとした時に手を滑らせ、転倒してしまい怪我をした為、凪に電話をかけたそうなのだが、凪に電話が繋がらず、凪のお母さんは次にわたしの名前を出してくれたようだった。

そっか、凪、、、今確か会議中だ。

「天海さんから聞いて電話をかけさせてもらいましたが、天海さんとのご関係は?」

救急隊員の人にそう訊かれ、わたしは咄嗟に「天海さんの息子さんの婚約者です!」と答えてしまった。

そして、救急隊員から凪のお母さんが運ばれる病院を聞いたわたしは、上司に「母が病院に運ばれたので、早退します!」と事情を説明し、早退させてもらい、凪のお母さんが運ばれた病院へと向かった。

その間、凪にはLINEでお母さんが病院に運ばれた旨と、先に「先にわたしが行ってるね!」と伝え、お母さんの元へと急いだ。

凪のお母さん、大丈夫かなぁ、、、

歩行器に掴まろうとして転倒したって、だいぶ手足の力も弱くなってきてるからじゃないのかなぁ。

とにかく、早くお母さんのところへ行かなきゃ。

タクシーの運転手さんには「急いでください!」と伝えたが、それさえも遅く感じてしまう程、わたしの気持ちは焦っていた。