そして、わたしたちは凪の部屋に帰った。
すると、初めて来た時は綺麗だったリビングのソファーの背もたれには、脱ぎっぱなしの部屋着がかかっており、テーブルの上には飲みかけの珈琲が入ったマグカップが置かれていた。
「これが、いつもの状態です。」
凪はそう言ってハハッと笑うと、脱ぎっぱなしにしていた部屋着とテーブルの上のマグカップを手に取り、それを片付けてからスーツの上着を脱ぎ、ソファーの背もたれにホイッと投げ掛けた。
「さて、ご飯はもちろん作るけど、その前に、、、抱き締めさせてもらってもいいですか?」
凪はわたしの目の前に来ると、そう言った。
「、、、うん。」
「あ、でも、、、一つだけお願いがある。」
「何?」
わたしがそう訊くと、凪は少し目を逸らし照れながら「抱き締めるの、、、後ろからでいいかなぁ?向き合って抱き締めちゃうと、、、キスしたくなりそうだから、、、」と言った。
え、、、それは、どうしてそう思うの?
「キスって、、、好きな相手じゃないと、したいって思うものじゃないの?」
わたしがそう訊くと、凪は少し戸惑いながらもこう答えた。
「そうだよ。俺は、、、美月が好きだから、、、だから、キスしたくなってしまうと思う。でも、美月にそうゆう気持ちがないのに、、、俺の一方的な気持ちで、したくないから、、、」
「、、、いいよ。」
「えっ?」
「いいよ、、、キス、しても。わたしも、、、凪のこと、好き、だから、、、」
気付けば、わたしは凪の気持ちにそう答えていた。
自分でも驚いたが、自然と出てきた言葉だから、きっと、、、これが、無駄なことを考えずに感じたわたしの気持ちなんだ。



