ありふれた日常こそ、尊い。


次の日、朝8時にペーパードライバーのわたしは凪のお母さんをタクシーで迎えに行き、病院へと向かった。

「美月さん、ごめんなさいね。病院なんかに付き合わせてしまって。」

申し訳なさそうにそう言う凪のお母さん。

わたしは「いえ!お母さんが一人で病院に行くのは心配ですし、それにわたし自身がお母さんに会いたかったってのもあるので!」と言った。

すると凪のお母さんは「ありがとう。わたしも美月さんに会いたかったわ。」と微笑んでくれた。

病院に到着すると、すぐに受付を済ませたのだが、やはり総合病院だけあって人だらけで待ち時間も長かった。

こんなに待ち時間が長かったら、ただの診察と薬を貰うだけとはいえ、お母さん疲れちゃうだろうなぁ。

「お母さん、大丈夫ですか?疲れたら、わたしに寄りかかってもらっていいですよ!」
「ありがとう。美月さんって、本当に優しいのね。」
「そんなことないですよ!こんなに人がいっぱい居たら人酔いしちゃうし、長時間座って待ってるだけでも疲れちゃうだろうなぁって思ったので。」

わたしがそう言うと、凪のお母さんは「凪が美月さんに惚れたのも、納得だわ。」と言い、フフッと笑った。

「え!いやいやいやいや!」
「わたしね、凪が生まれてすぐに離婚して、必死にあの子を育てる為に働いて来たけど、、、あの子には寂しい思いばかりさせてきて、申し訳無く思っているの。本当なら、もっとそばに居てあげたかったけど、なかなかそうもいかなくてね。身体が二つあればいいのにって、何度思ったか分からないわ。」

凪のお母さんはそう言いながら、その頃を思い出すかのように切なげな表情を浮かべていた。