「へぇ〜!そうだったんだ!」
「こう言うと、マザコンだと思われるかもしれないけど、、、中1の時にさ、飯作ろうと思って冷蔵庫開けたら、挽肉と豆腐しか入って無くてさ。これで何が作れるのか携帯で調べたら、豆腐ハンバーグが出てきて、レシピ見ながら初めて作ったんだ。その時に、初めて母さんの分も作って、母さんが帰って来てから食べてもらったら"美味しい!"って喜んで食べてくれて。あの時の母さんの顔が忘れられなくて、それから料理人になりたいって思うようになった。」
凪はまるで"その時"を思い出しているかのように、優しい表情を浮かべて言った。
「素敵な話だね。」
「だから、今日はその時に作った豆腐ハンバーグに似せたハンバーグを作ろうと思って!」
「でも、料理人は目指さなかったんだね。」
「うん。専門学校行って学びたかったけど、母さんに負担をかけたくなかったから、普通に就職したんだ。」
そっかぁ、、、凪のお母さんは、女手一つで朝から晩まで働いて凪を育てたって言ってたもんね。
「母さん、母さんって、俺やっぱりマザコンだな。」
そう言って笑う凪に、わたしは「そんなことないよ。」と言った。
「お母さん想いの優しい息子じゃない。じゃあ、わたしがお客さんになるから、凪はわたしの専属シェフになってくれる?」
わたしがそう言うと、凪は嬉しそうに微笑み「いいよ!美月の専属シェフになってやる!」と言ったのだった。
「あぁー!いい匂いしてきたぁ!」
「まだもう少し待ってろよ〜?」
「わたし、良い彼氏もったなぁ〜!」
「だろ〜?」
そんな会話をしながら、わたしは凪が料理する姿を眺めた。
凪も色々と苦労しながら、色々我慢しながら生きてきたんだなぁ。
そう思うと、自分と重なる部分があって、他人事には思えなかった。



