ありふれた日常こそ、尊い。


それから定時になり、帰る支度をして事務所を出ると、販促課の入口のすぐそばで壁に寄りかかる凪の姿があった。

「おう、お疲れ。」
「お疲れ〜」

わたしの様子を見て「美月、何かあった?」と訊く凪。

え、わたしそんなに顔に出てた?

「え?別に何もないよ〜」
「美月は嘘つくのが下手くそだよなぁ。顔に書いてあるぞ?」
「何て?」
「"凹んでるから抱きしめてー!"って。」
「絶対書いてない!」

ムキになっているわたしの反応に凪はハハッと笑うと、「さて、俺んちに帰るぞ。」と言った。

「え?"俺んち"?」
「うん。今日は俺んちで一緒に飯食おう。」
「わたしご飯作るの苦手なんだけど、、、」
「いや、作るのは俺だし。」
「え?!凪、料理出来るの?!」
「まぁ、中学ん時くらいから自分で飯作ってたから、それなりには出来る。」
「マジで?!じゃあ、行く行く〜!」

そんな会話をしながら、わたしたちは会社を出て、凪の車で凪の自宅に帰宅した。

凪が住むマンションは5階建てのお洒落な造りのマンションだった。

「こんな良いとこ住んでんの?」
「そうでもないよ。1LDKだし。」
「いや、わたしワンルームなんだけど。」

そう話しながら向かったのは最上階の5階。

凪の部屋は502号室だった。