「美月さん、ごめんなさいね。悲しいこと言わせてしまって、、、」
「いえ!気にしないでください!だからわたし、祖父母に育てられたんです!その祖父母も他界してしまいましたが、今のわたしには凪が居てくれますし、お母さんに味方だと言っていただけたので、お母さんが出来たみたいで凄く嬉しいです!」
わたしが出来るだけ明るくそう話すと、凪のお母さんは切なげに微笑み「わたしで良かったら、お母さんだと思ってくれていいのよ?わたしも、娘が出来たみたいで嬉しいから。」と言ってくださった。
その言葉にわたしは涙が滲みかけたが、それをグッと堪えた。
ダメだ、、、今泣いちゃダメだ、、、
せっかく凪のお母さんが"安心した"と言ってくれたのに、わたしが泣いたら台無しになってしまう。
すると、凪のお母さんは凪に向かい「凪、美月さんを大切にしなさいよ。泣かせるような事があったら、母さん許さないからね。」と言った。
「分かってるよ。」
「美月さん、もし良かったら、また遊びに来てね?また美月さんに会いたいわ。」
凪のお母さんはそう言うと、わたしに微笑みかけてくれた。
わたしはそのお母さんの気持ちが嬉しくて、「はい!また遊びに来ますね!」と答えたのだった。
そして、あまり長居すると、凪のお母さんが疲れてしまうので、そのあとすぐに凪とわたしは帰宅することにした。
その帰り道の車の中で、凪は「今日はありがとな。母さん、これで安心してくれたと思う。美月には感謝だよ。」と言った。
しかし、わたしはこのままではいけない気がした。
これで終わってしまったら、、、凪が嘘つきになってしまう。
"人を裏切ったりしない、嘘はつかない子に育てたつもりはないから"
凪のお母さんは、凪を信じている。
それなのに、、、凪のお母さんを裏切るようなことはしたくない。



