近道をするために、土手を降り、シャッター街の裏通りを通ろうとしたのが間違いだった。
私は、いつの間にか隣の高校の不良生徒達3人に囲まれていた。
嘘。
(ふ、ふざけんな)
「い、嫌です」
「良いじゃん。ちょっとだけ」
ま、まさか、ナンパ? こんな薄暗いところで? 冗談じゃない。
「逃げんなよ。ほら、キスしよう?」
「イヤッ」
「こっち向けよ」
リーダー格っぽい男が、私のアゴを捕らえる。全身がガクガク震える。逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ!!
せめて、身を守らなきゃ。
(どうやって!?)
ほかの男たちが、コンクリートの壁に私の手足を押さえつける。
「やめろ!!」
すえたにおいのするアスファルトに落とされる本の入ったトート。リュック。そしてブレザー。
「嫌!!」
スマートフォンはリュックの中だ。しかもめったに使わないので電源が切ってある。
(ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな)
「ほ、
本を大事にしろ!!」
私は、リーダー格のアゴに思いっきり頭突きをした。
「いてっ!」
私を押さえつけている男達の足を必死で踏みつけた。
「この野郎!」
瞬間、お腹を蹴飛ばされて、痛みで思わずうずくまる。
男たちが、私をアスファルトの上に押し倒す。
(い……いた……い……)
お腹の痛みで気が遠くなってくる。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
助けて。
助けて。
(本を……!!)
「うわっ!!」
いきなり、目の前の男が横になぎ倒された。
(え?)
「うわあ!!」
「ぐあああ!!」
他の男達も、断末魔のような悲鳴を上げている。
私は、遠のいて行く意識をなんとか集めて、薄目を開けた。
紺色のブレザーの広い、広い背中。
腰の位置の高い立ち姿。大柄な男。
(せん、ぱい?)
それは、
今まで見たことがない、そして、本でも読んだことがない戦い方だった。
優雅な舞踏。
先輩が身体を揺らめかせるたびに、長い左腕がムチのようにしなり、男たちをたたきのめしていく。その間にも、長い脚が男達を蹴り飛ばす。右拳が容赦なく男達を襲う。
「せ、せんぱい……」
私のか細い声が、先輩に届いたのだろうか。先輩が、一瞬振り返って、
私を安心させるように穏やかに微笑んだ。
(怖!!)
先輩は私の荷物をひろい、私をすっと抱き上げて、その場からすたこら逃げだし、
駅前にある交番までひたすら走った。異常なくらい足が速く、私を気づかう優しさに満ち満ちていた。
「先輩、
ありがとうございました」
私は、いつの間にか隣の高校の不良生徒達3人に囲まれていた。
嘘。
(ふ、ふざけんな)
「い、嫌です」
「良いじゃん。ちょっとだけ」
ま、まさか、ナンパ? こんな薄暗いところで? 冗談じゃない。
「逃げんなよ。ほら、キスしよう?」
「イヤッ」
「こっち向けよ」
リーダー格っぽい男が、私のアゴを捕らえる。全身がガクガク震える。逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ!!
せめて、身を守らなきゃ。
(どうやって!?)
ほかの男たちが、コンクリートの壁に私の手足を押さえつける。
「やめろ!!」
すえたにおいのするアスファルトに落とされる本の入ったトート。リュック。そしてブレザー。
「嫌!!」
スマートフォンはリュックの中だ。しかもめったに使わないので電源が切ってある。
(ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな)
「ほ、
本を大事にしろ!!」
私は、リーダー格のアゴに思いっきり頭突きをした。
「いてっ!」
私を押さえつけている男達の足を必死で踏みつけた。
「この野郎!」
瞬間、お腹を蹴飛ばされて、痛みで思わずうずくまる。
男たちが、私をアスファルトの上に押し倒す。
(い……いた……い……)
お腹の痛みで気が遠くなってくる。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
助けて。
助けて。
(本を……!!)
「うわっ!!」
いきなり、目の前の男が横になぎ倒された。
(え?)
「うわあ!!」
「ぐあああ!!」
他の男達も、断末魔のような悲鳴を上げている。
私は、遠のいて行く意識をなんとか集めて、薄目を開けた。
紺色のブレザーの広い、広い背中。
腰の位置の高い立ち姿。大柄な男。
(せん、ぱい?)
それは、
今まで見たことがない、そして、本でも読んだことがない戦い方だった。
優雅な舞踏。
先輩が身体を揺らめかせるたびに、長い左腕がムチのようにしなり、男たちをたたきのめしていく。その間にも、長い脚が男達を蹴り飛ばす。右拳が容赦なく男達を襲う。
「せ、せんぱい……」
私のか細い声が、先輩に届いたのだろうか。先輩が、一瞬振り返って、
私を安心させるように穏やかに微笑んだ。
(怖!!)
先輩は私の荷物をひろい、私をすっと抱き上げて、その場からすたこら逃げだし、
駅前にある交番までひたすら走った。異常なくらい足が速く、私を気づかう優しさに満ち満ちていた。
「先輩、
ありがとうございました」



