「あっ!いた!ホムラー!」
アリトが手を大きく振りながら、焔に駆け寄る。
「ホムラ、本当にありがとうっ!命の恩人だよ!」
「いえいえ、どういたしまして。」
焔は少し照れたような笑みをした。
「ねぇ、ホムラ。この後さ、村のみんなと一緒に宴をするんだけど、ホムラに是非来てもらいたいんだよ!村の英雄だからさっ!」
「うん、喜んで!」
「あとさ、ホムラ。その足元にいる犬は何?」
アリトに指さされたところには、黒に紫を混ぜたような毛並みに、血のような瞳の犬がいた。
(ま、まさか…!)
その犬は焔と目が合うと、「ワンッ!」と元気よく鳴いた。
「あー、えーとっ…も、森の中に捨てられていてほっとけなくてさ、拾ってきた…」
あはは…と苦笑いをして焔は言った。
「ふーん、そうなんだ…とっても、優しんだねっ!焔は!」
にっこりと笑ってアリトは言った。どうやら、バレていないみたいだった。
「あっ!森の中に忘れ物しちゃったかも、取りに行ってくるねっ!」
犬を抱えて、焔は森の中へと走って行った。
アリトは不思議そうに首を傾げて、走り去って行く焔を見た。

