テレビに向かい、コントローラーを連打する。
すると、ゲーム画面がピタリと止まった。
「あぁー!まーたバグったー!」
ボフッと音を立てて、白田 焔はクッションに背中からダイブをした。
焔は、ゲームでとにかくバグりやすい。今プレイしているゲームは、『魔法学園物語』というゲーム。
王道RPGで他にも色々な要素がありストーリーは、自分が住んでいる村が魔王軍に襲われて、アリトという男の子と一緒に魔法学園で、
修行を積み、最後に魔王を倒す…!
そういうストーリーだ。焔は、そのゲームが大好きだ。
だが焔は、『魔法学園物語』で、壁抜けや停止、異空間移動……などなどのバグをいとも簡単に起こしてしまうのだ。
普通にバグを使って攻略することも可能だ。
「普通にゲームがしたいよ……。」
ため息をついた。
「……気分転換に外行こ。」
グーと背伸びをして立ち上がり、出かける準備をする。
鏡の前でボサボサの髪をくしで梳く。
黒にほんのりと赤色が混ざったボブヘアに、炎のような瞳の焔がうつった。
寒いので上着を着て、ガチャリと玄関ドアを開ける。
鍵をちゃんとしめて、出かけた。

