白雪姫の王子様

「どういう……」

予想外すぎて、頭が追いつかない。

「昨日ね、雪に何があったのか聞いたの」

「そうそう!」

そこへ便乗してくる翔。

もう一度睨むと、今度は口を開けたまま、
固まる。


「あのね」

雪のお母さんが、優しく続ける。

「雪、昔から白雪姫の絵本が大好きだったの」

「白雪姫?」

雪のお母さんは頷く。

そして嬉しそうに、

「いつか王子様が来てくれるんだって、ずっと言ってたわ」

と言って微笑んだ。

「ちょ、お母さん……!」

雪が真っ赤になりながら止めようとする。

でも、莉子と翔は完全に聞く気満々だ。

「私はね」

雪のお母さんの表情が、少し曇る。

「“きっと来てくれるよ”って、言ってあげられなかった」


静かな沈黙。


そして、雪のお母さんはゆっくり俺を見る。

「でも……来てくれたのね」

「え?」

「雪にとっての、王子様が」

胸が、少し熱くなる。

その笑顔には、嬉しさと、少しの後悔が滲んでいた。

「私が、一番信じてあげなきゃいけなかったのに……それなのに、邪魔をしてしまった」

「お母さん……」

雪が心配そうに見つめる。


少しずつ、空気が重くなり始める。