白雪姫の王子様

俺は、ゆっくりと起き上がる。

そして、引き出しの前へ立った。

手を伸ばす。

でも、なぜか体が強張った。

怖かった。

引き出しを開ければ、雪を思い出してしまうから。

それでも、ゆっくりと引き出しを開ける。

そして、赤いマフラーを取り出した。

ベッドへ腰掛ける。

あの日から、ずっとしまったままだった。

綺麗な赤。

雪の笑顔が蘇る。

イルミネーション。

雪の吐息。

“似合うかな?”

いろんな記憶が、一気に溢れてくる。

込み上げる感情を、必死に押し殺す。

気づけば、スマホを手に取っていた。

写真フォルダを開く。

そこには、あの日の雪がいた。


笑っている雪。

はしゃぐ雪。

少し照れている雪。

全部、綺麗だった。

「……ふっ」

気づけば、少し笑っていた。

悲しいはずなのに。

でも、雪との思い出は、苦しいだけじゃなかった。

幸せだった。

だから。

もう一度、雪と向き合わなければいけない。

今度は、雪の“死”と。

そして、俺が知っている雪を、
雪の両親にも届けよう。

雪が、本当に幸せだったことを。

俺は写真をUSBへ移した。

明日は土曜日だ。

だから、雪の両親に会いに行こう。

そう、決心した。