白雪姫の王子様

雪が目を覚まさなかった、あの日から。

世界の色が、薄くなった。

空を見ても。

街を歩いても。

何をしていても。

どこか、色が抜け落ちて見える。

俺は、雪の葬式へ行かなかった。

いや、行けなかった。

雪が、本当にこの世界からいなくなった。

その事実を、受け入れることができなかった。

もし、棺の中の雪を見てしまったら。

もう二度と、雪が笑わないことを、
認めなければいけなくなる。

だから、逃げた。

でも、そんな俺を置いていくように、
時間は進んでいく。


新しい年になった。

学校も始まる。

「いってきます」

玄関でそう言う。

「いってらっしゃい」

母さんが、少しぎこちなく笑った。

俺も、少しだけ頷く。

まだ、前みたいには戻れない。

でも。

雪が、繋いでくれた家族の絆だけは、
確かにここに残っていた。