白雪姫の王子様

「……雪」

姿を見た瞬間、思わず、声が漏れた。

ベッドの上の雪が、ゆっくりとこちらを見る。

そして――

綺麗な顔を、ぐしゃぐしゃに崩した。

ぽろぽろと涙が溢れる。

その顔を見た瞬間、胸が締めつけられた。

……どれだけ、不安だったんだ。

気づけば、駆け出していた。

ベッドのそばまで行って、
そのまま、強く抱きしめる。

細い体。

震えている肩。

雪は、俺の服をぎゅっと掴みながら、
声を殺して泣いていた。

「ごめん……」

掠れた声が漏れる。

「ほんとに、ごめん……」

でも、俺の言葉なんて届いていないみたいに、
雪は必死に俺にしがみつく。

「もう……会えないって……思って……」

途切れ途切れの声。

苦しそうで、
でも、一生懸命伝えようとしてくれている。

「分かってる」

雪の頭を優しく撫でる。

「もう、どこにも行かない」

そう言って、さらに強く抱きしめた。

「もう俺は、雪から逃げない」

雪はゆっくりと、顔を上げる。

涙で濡れた瞳。

その顔が、どうしようもなく愛おしかった。

「……愛してる」

雪の瞳が、大きく揺れる。

驚いたように、少しだけ息を呑む。

そっと、頬に触れる。

「私も……」

雪の声が震える。

「愛してる」

そう言って、雪は笑った。

綺麗だ。

ゆっくりと、お互いの距離が近づいていく。

そして――

優しく、唇が重なる。

その瞬間、窓から吹いた風で、
カーテンが大きく揺れた。

まるで、俺たちを隠してくれるみたいに。

唇が離れる。

見つめ合う。

雪が、少しだけ照れたように笑った。

その顔を見て、胸の奥が、温かくなる。

幸せな時間が、ゆっくりと流れていく。

――このまま、

時間が止まってしまえばいいのに。