白雪姫の王子様

15:30。

玄関へ向かう。

すると、母さんが笑顔で手を振った。

「いってらっしゃい」

その声が、なぜか少し胸に残った。

車に乗る。

兄貴の車に乗るのは、これが初めてだった。

「早く雪ちゃんに会いに行かないとな」

運転しながら、兄貴が笑う。

「ああ」

短く返す。

窓の外には、クリスマスの街並み。

どこも光っていて、浮かれている。

でも、俺の頭の中にあるのは、

雪のことばかりだった。

その時、ふと思い出す。

――赤い口紅。

ショッピングモールで、雪が見つめていた。

『きれいな赤……』

そう呟いていた声が、頭に残っている。

「兄貴、ショッピングモールで降ろしてくれ」

「ん?」

兄貴が少し驚いた顔をする。

「なんでだ?」

「早く雪ちゃんのとこ行きたいんじゃないのか?」

「買わなきゃいけないものがある」

兄貴は、一瞬だけ意味深に笑った。

「……わかったよ」

しばらくして、車がショッピングモールへ止まる。

「俺は先行ってるぞ」

「ああ」