白雪姫の王子様

 15:00。

「できた!」

母さんと兄貴のおかげで、ケーキは綺麗に完成した。

真っ白な生クリーム。

赤い苺。

クリスマス用の小さな飾り。

不思議なくらい、ちゃんとしたケーキになっていた。

「二人とも、ありがとう」

気づけば、自然と口から言葉が出ていた。

母さんと兄貴が、目を丸くしている。

でも、二人は顔を見合わせて笑うと、

「どういたしまして」

そう優しく返した。

なんだか、急に恥ずかしくなる。

俺は誤魔化すように、頭をかいた。

「こんな素直な蓮、いつぶりだろうな〜」

兄貴がニヤニヤしながら言う。

「そうね」

母さんまで笑っている。

「うるせえ」

反射的にそう返す。

でも本当は、違うことを言いたかった。

“今までごめん”

その言葉が、喉まで出かかっていた。

でも、まだ上手く言えなかった。

すると、母さんが優しく笑う。

「雪ちゃんのおかげなのね」

その言葉に、少し驚く。

でも、否定する気にはならなかった。

「ああ」

短く返す。

母さんは、どこか嬉しそうに目を細めた。

「そんなに素敵な子なら、私も会ってみたいわ」

その言葉に、胸が少し締め付けられる。

でも、それを顔には出さずに、

「……いつかな」

そう返した。

未来なんて、本当は分からない。

それでも、そう願いたかった。

その後、俺は兄貴と一緒に、
ケーキを病院へ持っていくことになった。