白雪姫の王子様

「雪には、残された時間の中で叶えたいことがあります」

「残された時間って……」

母親の声が強くなる。

「まるで雪が、もう助からないみたいに――」

「分かってます」

また、遮ってしまう。

でも、今は止まれなかった。

「俺も、“奇跡”を信じてました」

雪の母親が、黙る。

とても苦しそうな顔をしている。

「でも」

息を吸う。

「それを信じることを理由に、一番大事なものから目を逸らしてた」

自分の声が、少し震えている。

「俺は……雪とちゃんと向き合いたい」

雪の母親へ、まっすぐ伝える。

「できる限り、あいつの“やりたいこと”を叶えたいんです」


沈黙。