白雪姫の王子様

息を切らしながら、雪の病室の前まで辿り着く。

でも、なかなか扉を開けることができない。

心臓が、うるさい。

怖い。

もし、もう嫌われていたら。

もし、遅かったら。

そのときだった。

「あなたは、この前の……」

聞いたことのある、声。

振り返る。

そこには、険しい顔をした雪の母親が立っていた。

「もう雪には関わらないでと――」

「先日は、失礼しました」

気づけば、言葉を遮っていた。

雪の母親が、目を見開く。 

もう引けない。

「どうして、そんなに雪に関わるの?」

冷たい声だった。

「雪と、約束したからです」

即答だった。

「約束?」

「彼女の“やりたいこと”を叶えるって」

雪の母親の表情が、曇る。

「雪の……やりたいこと?」

その反応で分かった。


……知らないんだ。