白雪姫の王子様

学校へ行かなくなって、何日経ったのか分からない。

ベッドに寝転んだまま、天井を見つめる。


……何やってんだろ、俺。

でも、動く気になれない。



コンコン。



普段は鳴ることのない、ノックの音。

「……入るぞ」

兄貴だった。

部屋へ入ってくる。

起き上がる気もなく、視線だけ向ける。

兄貴は部屋を少し見渡して、

「まだ学校サボってんのか?」

少しだけからかうように言う。

「行ってねぇ」

イラついた。

でも、不思議と怒る気にはならない。

「そうか」

兄貴は、ベッドの隅に腰掛けた。

「説教ならいらねぇから」

そう、言葉を吐き捨てる。

「別に説教しに来たわけじゃない」

兄貴は静かに返す。

少しだけ沈黙が落ちる。

「雪ちゃんのところにも行ってないんだってな」

その名前が出た瞬間、胸が痛んだ。

「……関わらない方がいいんだろ」

勝手に、口が動いていた。

「親父にも言われたし、何より雪のためだ」

声が震えそうになるのを、こらえる。

そんな俺を見て、兄貴は、しばらく黙っていた。

そして、

「それ、本当に雪ちゃんのためか?」

と優しく問いかけた。

息が止まる。