白雪姫の王子様

クリスマスイブまで、あと二日。

俺たちは、病室で小さなクリスマスパーティーを開くことになった。

しかも、雪の希望で、
兄貴と雪の両親も参加するらしい。

「私が白雪姫なら」

雪が嬉しそうに笑う。

「クリスマスに、王子様と小人たちが集まるみたいだね」

その言葉に、病室の空気が柔らかくなる。

雪は本当に、楽しみにしているみたいだった。

今、雪と莉子は飾り付けの準備中だ。

紙で輪っかを作ったり、星を切ったり、
病室を少しずつクリスマス色に変えている。

「気が早くね?」

翔が呆れたように言う。

すると、莉子が振り返った。

「もうクリスマスは始まってるの!」

「何言ってんだこいつ……」

翔が少し引いている。

そんな二人を見て、雪は楽しそうに笑っていた。

その笑顔を見るだけで、胸が温かくなる。

「あ!男子たちは食べ物係ね!」

突然、莉子が俺たちを指差す。

「は?」

「はぁ?」

俺と翔の声が重なる。

「私たちはこっちで忙しいの!」

「だから、ね!」

「“ね!”じゃねぇよ!」

翔が文句を言う。

俺も同感だった。

でも、ここで揉めても仕方ない。

ふと雪を見る。

少しだけ、不安そうな顔をしていた。

……まったく。

「わかった」

「どうにかする」

そう言うと、雪の表情がぱっと明るくなる。

その顔を見た瞬間、もう断れないと思った。

「でもさ」

翔がスマホを見ながら言う。

「クリスマス直前にケーキって売ってんのか?」

確かに。

今から探して間に合うのか?

でも――

やるしかない。

雪のために。

この時間が、少しでも幸せな思い出になるように。

そして、できることなら。

この笑顔が、クリスマスの後も、
ずっと続いてくれればいいのに。