白雪姫の王子様

――騒がしい。

その音で、私はゆっくり目を覚ました。

「先生、バイタル安定してません!」

誰かの焦った声。

……何?

頭がぼんやりする。

体が重い。

息が、苦しい。

「っ……」

声を出そうとする。

でも、上手く声にならなかった。

心臓が痛い。

呼吸ができない。

周りの景色も霞んでいて、
何が起きているのか分からない。

「雪!しっかりして!」

お母さんの声。

「雪、お父さんとお母さんがいるからな!」

お父さんの声も聞こえる。

左手が、温かかった。

……握ってくれてるんだ。

「お、と……う、さん……?」

掠れた声。

「雪!」

すぐに返事が返ってくる。

「おか……あ、さん……?」

「大丈夫だからね!」

お母さんが、泣きそうな声で言った。


……なんで?

二人とも、なんでそんなに必死なの?

あれ……?

なんだか、眠い。

意識が、遠くなっていく。

「今から雪ちゃんを集中治療室へ移します!」

先生の険しい声。

「どうか……どうか……!」

お母さんの震える声。

だんだん遠くなっていく。

視界が、ゆっくり暗く沈んでいった。