白雪姫の王子様


病室の中。

見えているはずのない“綺麗な空”を、
何の迷いもなく色づけていくその姿。

まるで、自分の世界にだけ生きてるみたいだった。


……なんか、気に食わねぇ。


理由なんか分かんねぇけど。

でも、俺が持ってないものを、
普通に持ってる気がした。


何かに夢中になることも。

生きている意味も。

そんなの、俺はとっくに失っている。

だからーー
まっすぐに空を描いてるあの少女が、
少しだけ、羨ましかった。

そんなくだらない考えが、頭の中を駆け巡る。

「あの......何か用ですか?」

突然、声がして、我に返る。

少女と目が合う。

でも不思議と、目には驚きも警戒もなかった。

ただ静かに、俺を見ていた。