白雪姫の王子様

「雪、起きろ」

蓮くんの声で、ゆっくり目を開ける。

気づけば、バスは病院へ着いていた。

窓の外を見る。

いつもの病院。

なのに、今日は少し違って見えた。

夢みたいだった。

それくらい、今日の時間は楽しくて、

あっという間だった。

バスを降りる。

すると、お父さんとお母さん、
そして先生が待っていた。

最初は、みんな少し不安そうな顔をしていた。

でも、笑っている私たちを見て、
安心したように表情が緩む。

「おかえり」

お母さんが優しく言った。

「ただいま」

気づけば、私は二人へ抱きついていた。

お父さんもお母さんも、少し驚いた顔をしたけど、
すぐに優しく抱きしめ返してくれた。

その温かさが、嬉しくて、
少しだけ泣きそうになった。

「それじゃ、俺たちは帰ります」

蓮くんの声が聞こえる。

慌てて振り返った。

蓮くんも、

莉子も、

翔くんも、

みんな笑っている。

……ああ。

今日の出来事は、夢じゃなかったんだ。

「みんな、ありがと〜!」

大きく手を振る。

「また明日ね!」

「早く寝ろよ〜!」

莉子と翔くんは、大きく手を振り返してくれた。

蓮くんは、少しだけ笑って、小さく手を振る。

三人は、並んで同じ方向へ歩いていった。

その後ろ姿を、私はずっと見つめていた。

三人は知らない。

私に残された時間が、
本当にあと少ししかないことを。

だから、この時間が、こんなにも愛おしい。


……本当に、ありがとう。