白雪姫の王子様

眩い光の中を、雪はゆっくり進んでいく。

赤いマフラーを揺らしながら、嬉しそうに、
何度もイルミネーションを見上げていた。

俺は、一瞬も逃したくなくて、
夢中でシャッターを切る。

カシャ。

カシャ。

カシャ。

気づけば、スマホのフォルダは、
雪の写真で埋まっていた。

笑ってる顔。

驚いた顔。

照れてる顔。

どれも綺麗で、全部残しておきたかった。

そうしているうちに、あっという間に、
中央の鉄塔へ着いてしまった。

莉子と翔は、すでに先に来ていた。

「遅ぇよ」

なぜか不機嫌な翔。

「そんなこと言わないの」

莉子はそう言うと、優しく俺たちを見た。

「素敵な時間過ごせた?」

その言葉に、雪は嬉しそうに頷く。

「うん!」

心から幸せそうな笑顔だった。

「じゃあ最後に、みんなで写真撮ろ!」

莉子が俺たちを並ばせる。

タイマーが始まった。

3。

2。

1。

カシャ。

「お、いい感じじゃん!」

さっきまで不機嫌だった翔も、
写真を見て機嫌を直していた。

「次、雪と蓮!」

強引に、雪と並ばされる。

肩が近い。

少しだけ緊張する。

「撮るよ〜!」


カシャ。


「蓮、直立ピースやばすぎ」

翔が爆笑している。

「加工なしでここまで可愛い雪強すぎ〜」

莉子は写真を見ながら騒いでいた。

雪は、そんなみんなを楽しそうに見ている。


……終わってしまった。


みんなで立てた計画。

雪だけじゃない。

俺たち全員が、今日を楽しんでいた。

この時間が、もう終わってしまう。

そんなことを考えていると――

「何感慨に耽ってるんですか〜?」

突然、翔が横から現れた。

せっかくの空気が台無しだ。

「寒いし、そろそろ帰ろっか」

莉子がそう言った瞬間、雪の顔が、
一瞬だけ寂しそうに見えた。

でも、すぐに笑顔へ戻る。

「あ、その前に」

俺は近くのコンビニへ向かった。

そして、今日撮った写真をプリントする。

四人で撮った写真。

笑ってる雪。

ふざけてる翔。

楽しそうな莉子。

全部、ちゃんと形に残したかった。

……二人で撮った写真は、プリントしなかった。

なんとなく、恥ずかしくて。

いや、違う。

特別すぎて、まともに見れなかった。

「蓮くーん!早く〜!」

雪が、バスのドアのところから手を振っている。

「ああ!」

俺は写真を握りしめたまま、
急いでバスへ飛び乗った。