白雪姫の王子様

「もう最後か……」

雪が、少し寂しそうに呟いた。

気づけば、外はもう真っ暗になっている。

最後の予定は、

〈イルミネーションを見る〉

ショッピングモールの近くには、大きな公園がある。

冬になると、そこ一帯が綺麗なイルミネーションで彩られるらしい。

外へ出る。

冷たい空気が頬を撫でた。

「やっぱ寒いね〜!」

莉子が手を擦りながら騒いでいる。

「俺の手袋、片方なら貸してやるよ」

翔が得意げに言う。

「いらないわ!」

即答。

二人は、前を歩きながら相変わらず騒いでいる。

「まったく……」

呆れて、小さく息を吐く。

でも、そんな騒がしい空気も嫌いじゃなかった。

その時、ツンツン、と。

雪が、俺の腕を軽く突いた。

「どうした?」

そう聞くと、雪は少し背伸びをする。

そして、俺の耳元へ近づいた。

「莉子と翔くんって、お似合いだよね」

小さな声。

吐息が耳に触れる。

一瞬、心臓が跳ねた。

でも、雪は気づいていない。

嬉しそうに、前を歩く二人を見ている。

……こっちはそれどころじゃない。

耳に残る、雪の声。

近すぎた距離。

鼓動が、やけにうるさい。

でも、そんな俺の動揺なんて知らずに、
雪は楽しそうに笑っていた。