白雪姫の王子様

ゲーセンの中へ入ると、
音と光が一気に押し寄せてくる。

子どもから大人まで、
たくさんの人で賑わっていた。

雪は完全に圧倒されている。

少し雪が心配になり、隣を見る。

でも、その顔は楽しそうだった。

しばらく歩いていると、雪が立ち止まる。

視線の先を見る。

そこには、
猫のぬいぐるみが入ったUFOキャッチャー。

雪はじっと見つめていた。

「欲しいのか?」

そう聞く。

でも雪は、遠慮しているのか、
小さく首を横に振った。

その様子を見ていた翔が、すぐに茶化し始める。

「王子様〜?」

「お姫様が欲しがってますよ〜?」

「取ってあげるべきでは〜?」

莉子まで乗っかってくる。

……腹立つ。

雪は申し訳なさそうな顔をしている。

そんな雪の頭に、そっと手を置いた。

「欲しいのか?」

もう一度聞く。

すると雪は、小さく頷いた。

……仕方ない。

でも、UFOキャッチャーなんてやったことない。

取れる気がしなかった。

とりあえず100円を入れる。

アームで掴む。

……落ちる。

もう一回。

……落ちる。

「王子頑張れ〜!」

「全然取れてないぞ〜!」

翔と莉子がうるさい。

二人を睨む。

すると、二人は、分かりやすく静かになった。

その時、雪が俺の服の裾を引っ張る。

「もういいよ」

少し困ったように笑う。

「ありがとう」

でも、その笑顔は少しだけ寂しそうだった。

……そんな顔されたら、
取らないわけにいかないだろ。

結局、十回近く挑戦して、やっと取ることができた。

雪へ渡す。

「ありがとう!」

雪は満面の笑みで、ぬいぐるみを抱きしめた。

その姿を見て、自然と俺も笑ってしまう。

……取った甲斐、あったな。

その後も、シューティングゲームや、
レースゲームで遊んだ。

そして驚いたのは、
雪が異常にゲームが上手かったことだ。

「え、強っ」

「なんで!?」

俺たちは全員、唖然としていた。

雪は少し得意そうに笑っている。

「最後はプリ〜!」

莉子が嬉しそうに叫ぶ。

プリクラなんて撮ったことない。

嫌な予感しかしなかった。

「まずは全員!」

そのままプリ機へ押し込まれる。

突然始まるカウントダウン。

訳も分からず固まる。

カシャ。

……終わった。


「蓮、顔やば」

「真顔すぎるだろ!」

莉子と翔が爆笑している。

……うるせぇ。

でも、

「ふふっ」

雪も楽しそうに笑っていた。

すると、

「次は二人で!」

また押し込まれる。

今度は、雪と二人きり。

指示通りにポーズを取る。

雪は少し緊張していた。

でも、楽しそうに真似している。

そんな雪を見ていたら、自然と笑っていた。

撮り終えると、莉子と翔が近づいてくる。

その顔を見た瞬間、寒気がした。

そして二人は、俺たちを押しのけるように、
落書きコーナーへ突撃していった。

……何企んでんだ。

雪も不思議そうにしている。

しばらくして、プリが印刷された。

それを見た瞬間、俺は頭を抱えた。

そこには、全部の写真に、

『王子&白雪姫♡』

と書かれていた。

「はぁ……」

もう怒る気力もない。

ふと雪を見る。

雪は、なんだか嬉しそうだった。

……まぁ、雪が喜んでるならいいか。

そう思いながら、俺は莉子と翔を睨む。

二人は分かりやすく目を逸らした。