白雪姫の王子様

みんなと、いる時間は私にとって、
かけがえのないもの。

痛みも、苦しみも忘れられる。

毎日、私は幸せだった。

「うん……最近は体調も安定してる」

みんなは真剣に、先生を見つめている。

「外出許可、出そう」

先生は笑顔で、そう言った。

「やったー!」

莉子と翔の声が重なった。

病室が一気に明るくなる。

私も、嬉しかった。

でも、同時にこれが“最後“なのだと、
分かってしまった。

みんなは、こんなに喜んでくれているのに、
私は、素直に喜ぶことができなかった。

「よかったな、雪」

急に、蓮くんの声が聞こえた。

「雪?」

もしかして私、顔に出ちゃってたかな?

慌てて笑顔を作る。

「楽しみだね!蓮くん!」

明るい声で、蓮くんに言った。

蓮くんは、不思議そうに私を見つめている。

その時だった。

「じゃーん!」

突然、莉子が二つの箱を取り出した。

「なんだそれ」

翔くんは興味津々に覗き込んでいる。

「これは、雪と蓮に!」

箱を押しつけられる。

これは、なんだろう……?

ゆっくりと、箱を開ける。

「うわぁ……!」

そこには、真っ赤なマフラーが入っていた。

広げてみる。

綺麗な赤。

すごく、嬉しい。

でも、巻き方が分からない……

そんな私を見かねて、
莉子が優しく巻き方を教えてくれた。

「できた!」

マフラーを見ると、リボンの形になっていた。

「白雪姫じゃん」

翔くんは笑顔で言った。

でも、そんな風に言われると、恥ずかしくなる。

ゆっくりと蓮くんを見て、

「似合うかな……?」

と、恐る恐る聞いてみた。

でも、蓮くんが喋る前に、
莉子と翔くんが勢いよく、入ってくる。

「めっちゃ似合ってる!」

「雪、可愛すぎ!」

こんな風に褒められたのは、初めてで、
私もテンションが高くなってしまった。

「嬉しい!ありがとう、莉子!」

「可愛すぎる〜!」

莉子が抱きついてきた。

「あ、蓮も開けて」

莉子が蓮くんの箱を指差す。

「ああ……」

中には、同じ赤いマフラー。

「これって……」

「そう!」

莉子が満面の笑みで言う。

「雪とお揃い!」


……お揃い?

これを巻いて、蓮くんと街を歩けるの?

すごく嬉しい。

でも、なんでだろう。

蓮くんは、あまり嬉しくなさそうだ。

蓮くんこういうの、嫌いだったのかな……

私は、うつむいてしまった。

「照れてんのか?蓮くん」

気づくと、翔くんが、蓮くんにくっついていた。

「やめろっ!」

蓮くんは、即座に距離を取る。

「……っ」

私は、蓮くんが嫌だったのかと不安になった。

でも、蓮くんはゆっくり、マフラーを首に巻いた。

蓮くんと同じ、真っ赤なマフラー。

蓮くんは、とてもマフラーが似合っていた。

その後も、

いつ出かけるか、

どこへ行くか、

みんなでたくさん話し合った。

病室には、ずっと笑い声が響いていた。