白雪姫の王子様

存分に騒いだあと、

「また明日!」

そう言いながら、莉子と翔は病室を出て行った。

急に静かになる病室。

「それじゃ、俺も帰るから」

そう言うと、雪は少しだけ寂しそうな顔をした。

毎日会ってるのに。

毎日、同じ顔をする。

でも、そんな雪が愛おしくてたまらなかった。

俺は雪へ近づく。

そして、そっと頬にキスをした。

「……っ」

雪が一瞬固まる。

みるみる顔が赤くなっていく。

その反応が可愛くて、思わず笑ってしまう。

「このくらい慣れてもらわないと困りますよ」

頭を優しく撫でる。

「白雪姫」

雪はさらに真っ赤になりながら、
恥ずかしそうにうつむいた。

「また明日」

「うん」

雪が小さく笑う。

「また明日」

その言葉が、胸の奥にじんわり残った。

病室を後にする。

病院の外へ出ると、まだ莉子と翔が待っていた。

「お、今日も王子様してきたんすか?」

翔がニヤニヤしながら言う。

「はぁ……」

もうツッコむ気力もない。

このノリ、いつまで続くんだよ。

その時、冷たい風が頬を撫でた。

「さむっ」

翔が肩を縮める。

「もう冬だな」

空を見上げる。

日が落ちるのも、随分早くなっていた。

「あ」

莉子が何かを思いついたように声を上げる。

「雪がお出かけする時、寒くないようにしないとだね!」

「そうだな」

「よし!」

莉子が拳をあげる。

「私が全部用意する!」

やる気満々だ。

まぁ、こういうのは莉子に任せた方が早い。

「じゃ、帰るか」

俺たちは、いつもと変わらず、並んで家路についた。

でも――

こんな“当たり前”みたいな時間が、
何より幸せなんだと、俺は少しずつ知っていった。