白雪姫の王子様

「昔から、ウチは蓮のことが好きだったの」

莉子さんは、今までのことを話してくれた。

蓮くんが、何度も自分を救ってくれたこと。

いじめられていた過去や、自分がしてきたこと。

全部、隠さずに。

そして――

その全部から、蓮くんが救い出してくれたことを。

「だから、好きになったんだよね」

少しだけ照れくさそうに、笑う。

「ウチにとって蓮は、かっこよくて……なんか、王子様みたいな存在だったの」

「そうだったんだ……」


やっぱり、蓮くんはすごい。


「でもさ」

そのあと、少しだけ表情が変わる。

「昨日、気づいたんだよね」

「え?」

「蓮って、王子様なんかじゃないなって」

予想外の言葉に、思わず目を見開く。

「だってさ」

少しだけ、苦く笑う。

「好きって気持ち否定して、逃げて」

「.......」

「あんたが死ぬことも、“仕方ない”って受け入れてた」


それの、どこがいけないんだろう。

私には、それが“普通”に思えた。


「王子様ってさ」

莉子さんが、少しだけ前を向く。

「絶対に諦めないの」

諦めない……?

「どんな状況でも、逃げないで、ちゃんと向き合うの」

その言葉が、胸に残る。

「だから、蓮は王子様じゃない」

 少しだけ笑う。

「でも」

莉子さんは小さく、続ける。

「王子様になれるやつだとは思った」

その言葉に、少しだけ胸が温かくなる。

「雪」

莉子さんは、まっすぐ私を見ている。