白雪姫の王子様

次の日の夕方。

今日もノックの音がした。

一瞬、昨日の莉子さんの言葉が、
頭をよぎった。

「……どうぞ」

ドアが開く。

そこに立っていたのは、莉子さんだった。

自分の体が、強張るのを感じる。

でも、そこに立っている彼女は、
昨日とは、違う顔をしている。

少し悲しそうに見えた。

「……」

莉子さんは黙ったままだ。

何を言われるのか、少し怖かった。

でもーー

「……ごめん」

「……え?」

「昨日は、言いすぎた」

その声は、昨日よりずっと小さく、弱々しかった。

「私もーー」

「違う」

言葉を遮られる。

「……あんた、何も悪くない」

なんて、声を掛ければいいかわからない。

「……ほんと、ムカつく」

え。

「そういうとこ」

少しだけ、優しい声。

「……ねぇ」

莉子さんが、真面目な顔になる。

「蓮のこと、好きなんでしょ」

時が、止まる。