白雪姫の王子様

次の日、久しぶりに学校へ行くと、
教室に入った瞬間、

「おー!」

「不良の蓮くん、やっと学校来たか〜」

と大きな声と同時に、
翔と莉子が、嬉しそうに駆け寄ってくる。


……嫌な予感。

翔はその勢いのまま、
俺の肩に腕を回してきた。

「重い」

鬱陶しくて腕をどかそうとする。

でも、こいつは無駄に力が強い。

「何だよ〜久々の再会だろ?」

ニヤニヤしている。


絶対、ろくなこと考えてねぇ。

「で?」

今度は莉子が笑顔で覗き込んでくる。

「雪と何かあったの?」

「……何もねぇよ」

無愛想に返す。

「いやいや〜」

翔がニヤッと笑う。

「何もなしで、蓮がこんな顔になるわけないだろ」

「……は?」

嫌な予感しかしない。

そして、翔は確信したように言った。

「雪ちゃんと、キスしたな?」

昨日の出来事が、一気に頭へ蘇る。

柔らかかった唇。

涙で濡れた瞳。

「愛してる」って声。

「っ……」

体の熱が、一気に顔に集まる。

思わず、顔を逸らしてしまった。

その反応を見た瞬間、翔が爆笑する。

「うわ、図星だ!」

「やるじゃん、蓮〜!」

「うるせぇ!」

なんでこういう時だけ、
無駄に勘が鋭いんだよ、こいつ。

「なんでもいいだろ」

これ以上いじられる前に、急いで自分の席へ向かう。

……が。

当然、逃げられるわけもなく。

翔は俺の机に座り、莉子は隣の席に座る。

二人とも、ニヤニヤしながら顔を近づけてくる。

「で?どっちから?」

「病室で?」

「雪ちゃん泣いてた?」

「愛してるとか言った?」

「言ってねぇ!」

反射的に叫ぶ。

 ……いや、言ったけど。

「うわ、言ったんじゃん」

「墓穴掘ってるし」

クソッ。

その後も、
二人から拷問みたいな質問攻めを受け続けた。

こんなことなら、
メッセージなんか送るんじゃなかった。

そう思った、その時。

ふと、嬉しそうに笑っていた雪の顔が浮かぶ。

『明日から、また会いに行くからね!』

あのメッセージを見て、雪は本当に嬉しそうだった。

「……」

まぁ、雪のためなら、仕方ないか。

そう自分に言い聞かせながら、
俺は地獄みたいな一日を乗り切った。