白雪姫の王子様

次の言葉は、すぐには聞こえなかった。

「……あんたなんか」

低く、押し殺した声。

「はやく死んじゃえばいい」

時間が、止まったみたいだった。

「……蓮の人生の邪魔、しないで」

言葉が、ゆっくりと胸に落ちてくる。

痛い。

「……っ」

息がうまく吸えない。

そうか。

私ーー

「……迷惑、だったんだ」

蓮くんは、優しいから。

言わなかっただけで、

本当はーー

「……ごめん、なさい」

気づいたら、涙が落ちていた。

止めようとしても、止まらない。

「私、知らなくて……」

その時だった。

「何言ってんだよ」

低い声。

声のした方を見る。

そこには蓮くんが、立っていた。

ドアのところで、莉子さんを睨んでいる。

「お前、今なんつった?」

空気が、一気に張り詰める。

莉子さんは、一瞬だけ言葉に詰まった。

「……そのままだけど」

「ふざけんな」

蓮くんの声が、少しだけ強くなる。

「何もしらねぇくせに、勝手なこと言ってんじゃねぇよ」

「は?じゃあ何?」

莉子さんも引かない。

「正しいこと言ってるだけじゃん。どうせーー」

莉子さんは言いかけて、止まる。

でも、その先の言葉は、もうわかってしまった。

「……っ」

蓮くんの拳が、強く握られる。

「……帰れ」

低く、押し出すような声。

莉子さんはしばらく動かなかった。

「ウチだって、昔から、蓮のこと……」

そう言いかけたが

「……最悪」

小さく呟いて、病室を出て行った。