白雪姫の王子様

最近は、翔とも莉子とも話さなくなった。

……いや。

正確には、お互い、避けていた。

教室で目が合っても、すぐ逸らす。

話しかけようとして、やめる。

そんな空気が、ずっと続いていた。

誰も雪の名前を出さない。

でも、出さなくても分かってしまう。

全員、同じことを考えてるって。

「……」

息が詰まりそうだった。

教室にいるだけで、雪のことを思い出す。

莉子の言葉。

翔の顔。

病院の廊下。

カフェで笑ってた雪。

全部、頭に浮かぶ。

だから――

学校へ行くのをやめた。

ベッドに寝転がる。

スマホも見ない。

カーテンも開けない。

時間の感覚が、少しずつ曖昧になっていく。

でも、一番きついのは、静かになるほど、
雪のことばかり考えてしまうことだった。

「……クソ」

小さく吐き捨てる。

離れたのは、自分なのに。

忘れられない。