白雪姫の王子様

「……ごめん」

気づいたら、蓮くんに謝っていた。

「は?」

蓮くんが、少しだけ眉をひそめる。

「なんでお前が謝んだよ」

「だって……」

うまく言葉にできない。

「あいつらが勝手についてきて、騒いでったんだ。
つけられてることに気づかないで連れてきた俺が悪い」

「でも、空気も悪くしちゃったかなって……」

そう私がうつむいていると、
優しく頭に手を置かれた。

「雪は悪くない。だから気にするな」

やっぱり、蓮くんは優しい。

「今日は“やりたいこと“なにやるんだ?」

その言葉を聞いて、嬉しくなった。

学校へ行っていても、
私のことを忘れずに考えてくれていた。

「今日は大丈夫」

「え?」

蓮くんは不思議そうに、こちらを見ている。

「それに、翔さんはフレンドリーで話しやすそうだし、今回は莉子さんとお話しできなかったから、今度はお話ししたいな〜」

明るく笑って見せた。

でも、この言葉には少しの嘘が、混ざっている。

莉子さんのあの視線を浴びるのは、いや。

私は本当は蓮くんと、二人がいいんだ。

そんなことを思いながら、
蓮くんと他愛のない話をした。

私の人生にとって、この時間が一番幸せなんだ。