白雪姫の王子様

あの日から、蓮くんたちは病室に来なくなった。

最初は、忙しいだけだと思っていた。

でも、次の日も。

その次の日も。

誰も来なかった。

後から聞いた。

蓮くんが、この病院の院長の息子だということ。

きっと、院長や病院のことも考えて、
もう私には関わらないって決めたんだ。

「……」

それに、嫌な思いをさせてしまった。

蓮くんにも、

翔くんにも、

莉子にも。

「……会いたいな」

本音がこぼれ落ちる。

こんなにも、
誰かに会えないことが苦しいなんて知らなかった。

スケッチブックを開く。

白いページ。

鉛筆を走らせる。

描くのは、いつもの空。

小さな頃から、何度も描いてきた青空。

でも――

今日は、描けなかった。

気づけば、鉛筆は灰色ばかり選んでいた。

「……変なの」

少しだけ笑う。

きっと、心に雲がかかってしまったんだ。

窓の外を見る。

本当は、こんなに晴れているのに。

視界が、少しだけ滲む。

みんなと笑った日々。

蓮くんが、「全部叶えてく」って言ってくれたこと。

胸が、痛くなる。


もう、会えないのかな……