白雪姫の王子様

その後の雪のやりたいことは、
簡単なものばかりだった。

売店でお菓子を買ったり、
庭で少し話したり、
一緒に空の絵を描いてみたり。

「あはは、蓮くんって絵苦手なんだね」

「うるせぇよ」

なんてこんな、何気ない会話をしてみたり。

特別なことは、何もない。

でも、そのひとつひとつが、
やけに大事な時間に感じた。

気がつけば、夏休みを終わろうとしている。

「もう、夏も終わっちゃうね」

雪が、窓の外を見ながら言う。

「……そうだな」

少しだけ間が空く。

「蓮くんも、学校始まっちゃったら、こんな風に会えなくなっちゃうね」

その言葉に、なんて返せばいいかわからなかった。

「……まぁ」

曖昧に、そうこたえる。

雪は少しだけこっちを見て、それからふっと笑った。