白雪姫の王子様

久しぶりに、学校に来た。

教室のドアを開けると、
いつも通りのざわざわした空気が広がっている。

「お、蓮じゃん!」

声をかけてきたのは、幼馴染の相澤 翔だった。

「久しぶりじゃね?」

「……まぁな」

適当に返す。

席に向かう途中、何人かに軽く見られる。

でも、特に気にすることもなく、
そのまま椅子に座った。


……変わってない。


教室も、空気も、
全部、前と同じはずなのに。

なんか、違う。

すると、突然後ろから翔に肩を組まれた。

「お前、夏休みに女の子と一緒に、病院歩いてたって聞いたぞ」

その言葉に驚く。

知り合いに見られるなんて、考えていなかった。

「絶対なんかあるだろ」

「ねぇよ」

短く返す。

その時、

「ねぇ、蓮」

少し高めの声が後ろから聞こえた。

振り返ると、莉子が立っていた。

一ノ瀬 莉子。

翔と同じ、幼馴染だ。

「楽しそうに、なんの話してるの?」

少しだけ距離を詰められる。

「こいつ、女できたみたいだぞ」

翔が茶化すように、横から割り込んでくる。

その瞬間、莉子の顔が険しくなる。

「……で、どんな子なの?」

「それがさ、こいつの親父の病院に入院してる子」

また、からかうように翔が言った。

「おい、やめろ」

これ以上、ここで雪の話はしたくない。

「じゃあ、病人なんだ。それって彼女とかじゃなくて同情してるだけじゃん」

莉子はなんだか、勝ち誇ったように言った。

その言葉に腹が立った。

でも、それと同時に、自分への疑問が生まれた。

俺はなんのために、雪に会いに行っていたのだろうか。

いや……

それは雪の“やりたいこと“を一緒にやると決めたからだ。

それ以上でも以下でもない。

翔と莉子はまだ話を続けているが、
俺は2人の会話を無視して、窓の外を見た。


雪も同じ空を見ているのだろうか……


そうして、雪のことを考えている自分に気がついた。