白雪姫の王子様


次の日も、俺は病院に来ていた。

……もう言い訳するのもめんどくさい。

来てる理由なんて、ひとつしかない。

それなのに、それを認めるのが嫌な自分がいた。

「……はぁ」

ため息をつきながら、病院の中の売店へと向かう。

アイスケース前で立ち止まる。

種類が多すぎて、どれを選べばいいのかわからない。

しばらくアイスケースの前で悩んだすえ、
こんなことで悩んでいるのがバカらしくなり、
適当に選んだ。

そして、病室へ向かう。

今日も雪は、ベットの上で絵を描いている。

選んだアイスをふたつ。

「……アイス買ってきた」

雑にそう言って、雪に差し出す。

「ありがとう!」

雪の顔がぱっと、明るくなる。

その笑顔が、思ったよりずっと眩しくて、
思わず目を逸らした。

そんな俺のことなんて気にもしていないみたいに、
雪は袋の中を覗き込んでいる。

どっちにしようか、少しだけ眉を寄せて、
でも楽しそうに悩んでいた。


……そんなに悩むか普通。


「どっちがいいと思う?」

不意に聞かれて、言葉に詰まる。

「っ……知らねぇよ」

ぶっきらぼうに返す。

雪はそんな俺の姿が面白かったのか、
くっすと笑った。

そして、少し考えてからひとつを手に取った。

「じゃあ、こっちにする」

なんでもないやりとり。

たったそれだけなのにーー

胸の奥が、妙にざわついた。

二人でアイスを食べる。

雪は嬉しそうに、アイスキャンディーを食べている。

俺は、雪の選ばなかったソフトクリームを食べる。

一緒に食べたい、と言ったのは雪だ。

それなのに、雪は何も話さず、食べている。


……これはこれで、気まずい。


こうして、俺たちは静かにアイスを食べ終えた。