病室の扉は、今日も少しだけ開いていた。
わざとなのかと疑ってしまう。
中を覗くつもりなんてなかったのに、
足が止まってしまっていた。
あの女はベットの上で、何かを書いている。
今日はスケッチブックじゃない。
小さめのノート。
真剣に考え込んでは、またペンを動かす。
それを、何度も繰り返している。
その姿が、不思議に思えた。
「……何してんだ」
気がつけば、感情が声に出ていた。
しかも、なぜか俺は扉を開けている。
女がビクっとして顔を上げる。
「しまった」と思って逃げようとした。
でも、女と目が合ってしまって、
その場から立ち去ることができない。
ただ、この状況は気まずすぎる。
それに周りから見たら、俺は変質者だ。
というか、女の中では、俺はどんなくくりなんだ。
この前は嬉しそうに、話しかけてきた。
だから、変質者とは思われていないはず。
そこで俺は、思い切って病室へ入った。
沈黙。
でも、入ったからといって、
気まずさは、変わらない。
とりあえず、何か話かけるしかない。
「……なにそれ」
声をふり絞る。
「見ないで!」
俺がノートへ視線を向けると、
女は慌ててノートを隠した。
この話題は、まずかったのか。
でも、一瞬ノートの文字が見えてしまった。
「やりたいことリスト?」
……なんだそれ。
思わず目を細める。
女は慌ててノートをしまった。
「ち、違うの。ほんとに大したことじゃなくて……」
「別に、お前にーー」
俺が言葉を発すると、女はボソッと何かを呟いた。
「なに?」
そう俺が聞き返すと、女は俺を見上げて
「お前じゃないもん。名前ある……」
と少し不満そうに言った。
この女の中では「お前」と言われたのが嫌だったのだろう。
というか、俺たちお互いの名前知らねぇじゃん。
「おま……」
くせでお前と言いそうになり、慌てて飲み込む。
「あんた、名前は?」
結局、「お前」も「あんた」も似たようなもんじゃねぇかよ。
そう、心の中でツッコむ。
「あはは、あなたって面白い人だね」
と、楽しそうな笑い声が聞こえた。
女は俺の心を見透かしているかのように、
笑っている。
そんな、姿を見て、急に恥ずかしくなる。
「と、とにかく名前はなんなんだよ」
恥ずかしさを誤魔化すように、
俺はぎこちなく聞いた。
そんな、ぎこちない俺を笑いながら
「私は白石雪。今年で16歳。学校に行ってたら、
高校1年生」
そう言って、俺をまっすぐ見た。
その視線に応えるように俺も、
「黒瀬蓮。高2だ」
と、言った。
すると、雪はキラキラ目を輝かせながら、
「蓮くんって言うんだ!かっこいい名前だね!高校2年生ってことは一個年上のお兄さんだね」
嬉しそうに、雪は続ける。
「学校ってどんなところ?楽しい?部活とかもやってるの?」
と、雪から質問攻めを受ける。
ろくに学校に行ってない俺に、
学校の質問をされてもな……
そう、俺が困っていると、雪は何かを察したのか
「急にいろいろ聞いちゃってごめんね。私、学校とかちゃんと行ったことなから」
と、申し訳なさそうに言った。
わざとなのかと疑ってしまう。
中を覗くつもりなんてなかったのに、
足が止まってしまっていた。
あの女はベットの上で、何かを書いている。
今日はスケッチブックじゃない。
小さめのノート。
真剣に考え込んでは、またペンを動かす。
それを、何度も繰り返している。
その姿が、不思議に思えた。
「……何してんだ」
気がつけば、感情が声に出ていた。
しかも、なぜか俺は扉を開けている。
女がビクっとして顔を上げる。
「しまった」と思って逃げようとした。
でも、女と目が合ってしまって、
その場から立ち去ることができない。
ただ、この状況は気まずすぎる。
それに周りから見たら、俺は変質者だ。
というか、女の中では、俺はどんなくくりなんだ。
この前は嬉しそうに、話しかけてきた。
だから、変質者とは思われていないはず。
そこで俺は、思い切って病室へ入った。
沈黙。
でも、入ったからといって、
気まずさは、変わらない。
とりあえず、何か話かけるしかない。
「……なにそれ」
声をふり絞る。
「見ないで!」
俺がノートへ視線を向けると、
女は慌ててノートを隠した。
この話題は、まずかったのか。
でも、一瞬ノートの文字が見えてしまった。
「やりたいことリスト?」
……なんだそれ。
思わず目を細める。
女は慌ててノートをしまった。
「ち、違うの。ほんとに大したことじゃなくて……」
「別に、お前にーー」
俺が言葉を発すると、女はボソッと何かを呟いた。
「なに?」
そう俺が聞き返すと、女は俺を見上げて
「お前じゃないもん。名前ある……」
と少し不満そうに言った。
この女の中では「お前」と言われたのが嫌だったのだろう。
というか、俺たちお互いの名前知らねぇじゃん。
「おま……」
くせでお前と言いそうになり、慌てて飲み込む。
「あんた、名前は?」
結局、「お前」も「あんた」も似たようなもんじゃねぇかよ。
そう、心の中でツッコむ。
「あはは、あなたって面白い人だね」
と、楽しそうな笑い声が聞こえた。
女は俺の心を見透かしているかのように、
笑っている。
そんな、姿を見て、急に恥ずかしくなる。
「と、とにかく名前はなんなんだよ」
恥ずかしさを誤魔化すように、
俺はぎこちなく聞いた。
そんな、ぎこちない俺を笑いながら
「私は白石雪。今年で16歳。学校に行ってたら、
高校1年生」
そう言って、俺をまっすぐ見た。
その視線に応えるように俺も、
「黒瀬蓮。高2だ」
と、言った。
すると、雪はキラキラ目を輝かせながら、
「蓮くんって言うんだ!かっこいい名前だね!高校2年生ってことは一個年上のお兄さんだね」
嬉しそうに、雪は続ける。
「学校ってどんなところ?楽しい?部活とかもやってるの?」
と、雪から質問攻めを受ける。
ろくに学校に行ってない俺に、
学校の質問をされてもな……
そう、俺が困っていると、雪は何かを察したのか
「急にいろいろ聞いちゃってごめんね。私、学校とかちゃんと行ったことなから」
と、申し訳なさそうに言った。
