村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「もちろんよ! あたしは気がついてたけどね!」
「ボクだって知ってたし!」

ふたりが妙なところで張り合っている声はだんだんと遠のいていき、陽神の顔がグッと近づいてきていた。

接吻される!?
そう思ってギュッと目を閉じて身構えたとき、「宴の準備が整った。背筋を伸ばして自信を持って」と、囁かれた。

そっと目を開けてみると、陽神は葵の耳元に唇が触れるほどの場所にいる。

その距離感にドキリと心臓が高鳴った。
ドクドクと早鐘を打ち始める心臓をなだめようとしてもうまくいかない。

「さぁ、行こうか」
陽神がニヤリと不敵な笑みを浮かべて葵の手を握りしめたのだった。

☆☆☆

広間となった部屋に入っていくとすでに沢山の村人たちが集まってきていて、式神によってのおもてなしが開始されていた。

料理として提供されているのはどれも台所にあった、村人たちからのお供えものだ。