村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

女ふたりで後片付けをしていると、勝手口から陽神が入ってきた。

「陽神さま、おかえりなさい」
「あぁ。ただいま」

ふぅと息を吐き出して眠っている神竜の横に座り、その頭をやさしく撫でる。

神竜はむにゃむにゃと寝言で「お父様」と呟いた。
最近の陽神は隣の村へと駆り出されていて、そこで土砂崩れの処理に追われている。

隣村ではすでに神様の信仰心が薄れていたようで、その災害を防ぐことができなかったのだ。

今暮らしている人々が平穏に暮らせるために、尽力している。
「お疲れですね? お餅を食べますか?」

葵は戻ってきた陽神のためにとっておいた餅を棚から取り出した。

「いただくよ」
陽神がお皿から餅をつまんで口に入れる。

ゆっくりと味わうように咀嚼して飲み込むと、葵へ向けて微笑んだ。

「相変わらず美味しくて、元気の出る味だ」
「ありがとうございます」