村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

夏も甘い物が好きなようで、小さく切った羊羹を大切に大切に食べている。

そんなふたりを見ているとなんだかすごく胸の中が暖かくなってくる。

「それで、こんなところまでどうして?」
葵がお茶を飲んだタイミングで女将さんが聞いてきた。

「まさか、神様となにかったのかい?」
心配そうにそう聞かれると、やはり神様の妻が村へ下りてくるのはごく稀なことなんだろうなぁと感じる。

「いいえ、陽神さまとは順調です」
答えながら、毎夜の甘い時間を思い出して葵は頬を染めた。

「じゃあ、どうしてここに?」
女将さんは村の中で葵の相談相手になるのは自分しかいないと、わかっているみたいだ。

「昨日、女将さんが神社へ来たのを見たんです」
「あぁ……」

女将さんは葵の言葉に顔を伏せた。
「そうだよね。葵ちゃんは神様の奥様だもの。あそこへ行けばわかるに決まっているのに私ったら」

まるで自分の失敗を恥じるかのような言い方だ。