恋人どころか友人さえも居なかった
人との関わり方なんて知らない
「ひとまず仕事してる時以外は俺の所へ来て」
「分かりました」
基本日中の仕事だから夜とかに旦那様の元へ行けばいいのかな
なんて気軽に思っていたら
「あの……旦那様」
「ん?」
「これは……その…」
東郷さんも事情を知っているのか俺の仕事を減らして旦那様の元へ行くよう促される
そして旦那様の所へ行くのは良いが
旦那様は俺を自分の膝の上に乗せてそのままパソコンで仕事を始める
誰かが居る訳じゃないのにこの対応…
旦那様いわくいつ、桜さんに見られても大丈夫なように
出来るだけくっついていたいんだとか
恋人とはこんな感じなのか……
俺はすることなくてそのまま旦那様の膝の上で抱えられたまま眠ってしまった
そして眠った俺に
「……本当なら良いのにな」
旦那様が小さく呟き俺の頭にキスをしたことなんて知る由もない



