「芽雨さん。私です」
「あ、どうぞ」
部屋の扉をノックと同時に東郷さんの声が聞こえた
「あの、芽雨さんにお会いしたいという方がいらっしゃいます」
「え……」
まさか、騒ぎで俺の存在がバレた？
逃げなきゃ……
「誰……ですか？」
「その……お名前を仰ら無くて……ただ、今日の料理を作った人に合わせて欲しいと」
俺自身ではなく料理を作った人に会いに？
とりあえずあの人達では無さそう
「……行きます」
ベッドから体を起こし東郷さんと客間へ向かった
「こちらの方です」
俺に会いに来たのは
「そ……ら兄ちゃん？」
「っ……やっぱ芽雨だったんだなっ……良かった」
俺に料理を教えてくれた本人だった
宙兄ちゃんは泣きながら俺を力強く抱き締めた
