「我はお前との婚約破棄をし、ここにいるシーラと婚約を結びなおすのだ!」

 …はぁ。さすがに飽きる、この展開は。

 やっぱりヒロインは大ッ嫌いだ。その令嬢はあんたが自分の婚約者にちょっかいかけたからキレてるんだろうに。

 それにしなだれかかるヒロインに鼻の下伸ばしてる王子も王子だ。

 あんたにはこちらがうらやましくなるぐらい美人な婚約者様がいるだろうに・・・! 

「分かりました。婚約を破棄に同意いたします」

「そうかそうか、やはり婚約破棄に応じないか…は?今なんて?」

「ですから、破棄に同意いたします。つきましては、それに伴った違約金などをいただけると良いのですが。そうですね、大体〇〇〇万程…あ、スローライフ用の領地も欲しい…」

 あれもしかして悪役令嬢も転生者?

「な、なにを!?賠償金を払うのなら、この国の宝である聖女様を気付つけたオマエの方であろう!?大体なんですぐに婚約破棄に同意するのだ。我の気を引くためにわざとそう言っているのか?ならば成功している!何故ならお前のことも気に入っているからだ!」

 いやいや何言いだすのさこの阿呆は。悪役令嬢であるはずのクローディアさんをいじめていた令嬢たちまでドン引き…ヒロインも。

「我はお前も気に入っている。シーラを正妃に据え、オマエを愛妾にしてやろう。もとよりそのつもりだったしな!」

 あぁ…この場から離れたい。でも料理うまいし、あと料理うまいし…仕事もあるし。

「待ってくださいロイド様、それは嫌です!悪や…クローディア様は私を、私を…あぁ、言うのも悍ましい!こんな奴、さっさと国外追放にでもしてしまえばいいのです!」

 まぁヒロインが転生者じゃなかったら悪役令嬢がいじめられることもないだろうからわかっていたけど、やっぱりか。

というかヒロインがボロを出すほどに王子の発言がヤバい。ヤバすぎて会場のみんな絶句してシーンとしてるよ。この国一夫多妻制禁じられてるし、婚約破棄も宗教的な問題から反対されているのに、王族が真っ先に破るとか…

うん、女の敵。排除すべき敵。(人のこと言えない…?)

 というか王子の名前そんなのだっけ。

「そうだったな、コイツは嫉妬からシーラをいじめたんだったか…じゃあ駄目だ!」

 何コイツ。さっきから言ってることが支離滅裂なうえ、こどもっぽ・・・こんな奴国王になんかしたら秒でこの国滅びるんじゃね?

 あ~あ、両陛下も頭抱えてる…