シクシクとワクワクの星

シクシクは、ゆっくりと歩き出した。
「ワクワクを探す旅、スタート!🌟」


光の生命体は、ニカッと笑った。



「いや、旅って……そんな大げさな……。」



シクシクは、小さくため息をついた。



「ワクワクを探す」って、どうすればいいの?



「ちょっといいかも?」って思うものを見つける――それが、ワクワクへの第一歩。
でも、この星に、そんなものあるのかな?



シクシク星は、相変わらずどんよりとしている。
地面は灰色、空も暗いまま。
ため息の音が、あちこちから聞こえる。



「……どこにワクワクがあるっていうの?」



シクシクは、少しイライラしてきた。

やっぱり、ワクワクなんて、この星にはないんじゃ――。

そのときだった。

シクシクの足元に、キラッと何かが光った。
「……?」



そっとしゃがみこむ。



そこにあったのは――

一粒の、透き通った水滴。



「……これ、なに?」



この星には、涙の水たまりはたくさんある。
でも、この水滴は違った。

涙のように濁っていなくて、
ぽつんと 一粒だけ、キラキラと光っている。



「なんで……こんな形になってるんだろう?」



指で触れてみると、ぷるんとした感触がした。
冷たくて、すこしだけ気持ちいい。



「……。」



シクシクは、しばらくその水滴を見つめた。

なぜか、ほんの少しだけ――

「きれいかも?」

そんな気持ちが湧いてきた。

シクシクは、そっと顔を上げた。
空は相変わらず灰色。
でも、今までは気にも留めなかった 小さな水滴 を、今はじっと見つめている。



「これ……ワクワク?」



ぼそっとつぶやくと、後ろからパチパチと拍手が聞こえた。



「大正解~!!🎉✨」



光の生命体が、くるくる回りながら飛んできた。



「今、シクシクは “ちょっといいかも” って思ったでしょ?」



「……うん。」



「それが ワクワクの種🌱なんだよ!」



「ワクワクの……種?」



光の生命体は、ふわっとシクシクの隣に降り立った。



「ワクワクってね、最初から『うわ~~!楽しい~~!✨』って感じるものじゃなくて、
“なんとなくいいかも?” っていう小さな気持ちから始まるんだよ!💫」



「……。」

シクシクは、もう一度水滴を見つめた。

たしかに、これは「すごく楽しい!」とは思わない。
でも、「なんとなく、いいかも?」 とは思った。

それが、ワクワクの種?

「じゃあ、シクシク!🌟」
光の生命体が、ニカッと笑う。



「今日のワクワクミッション!✨」



「え、また?」



「もちろん!今回のミッションはね……
その水滴を、大事に持って帰ること!💖」



「えっ?」



シクシクは、思わず目を丸くした。



「そんなの、意味あるの?」



「あるある!めちゃくちゃある!🎶」



「???」



「ワクワクの種をちゃんと持っているとね、
そのうち もっと大きなワクワクが芽を出すんだよ!✨🌱」



「……?」



光の生命体の言っていることは、よく分からなかった。
でも、シクシクはそっと水滴をすくい上げた。

ぷるんとした感触が、手のひらに広がる。

なんとなく、少しだけ――

「……いいかも?」

そんな気持ちになった。



「おぉ~~!またシンクロだ!💫」



光の生命体が空を指さす。

パチッ✨

また、小さな星がひとつ光った。

シクシクは、しばらくそれを見つめた。



「……やっぱり、ワクワクすると、シンクロが起こるんだ。」



そう思った瞬間、シクシクの胸の奥が、ふわっと温かくなった。

🌟 続く…!

次回、第8話 「シクシク、ワクワクの種を育てる!?」
ワクワクの「種」を見つけたシクシク。
次は、それを どうやって育てていくのか――!?