僕は大きな家に住んでいた。
豪邸と呼ぶのが相応しい見た目をしていて、同級生からも羨ましがられた。
自分で言うのもおかしいかもしれないけど、裕福な暮らしをしていた。
ある秘密に出会ってから、僕の人生は変わってしまった。
立派な家の隅には、蔦が蔓延った倉庫があった。僕はそれが不思議で不思議でたまらなかった。
両親がパーティーへ出掛けている時、思い切ってその扉をあけた。
「ガララ……」
想像の数倍重い扉だったけど、なんとかこじ開けた。
人? アンバーの瞳が僕を捉えた。その時、気まずいようななんともいえない時間がながれた。「どうかしましたか?」流暢に話しかけられる。その声は僕のととても似ていた。瞳や声全てが僕にそっくりだった。
戸惑っていると、「外が明るいですね。」とまるで外に出たことがないかのように言った。
明るい?外は日も暮れて夜が街を染め始めたのに……
危害を与えられる感じはしなかったから、親も見ていなかったし、部屋に連れて帰ることにした。
自分の部屋に入ると、彼にいろいろ質問した。
「とても似ているね。好きな食べ物は?」
外見以外も似ているのだろうか?
「ハンバーグ」僕の好きなものと同じだ。
彼と色々話していると彼は僕の“くろーん”だと教えてくれた。要するに僕をまるまるコピーした存在だそうだ。色々話していると、僕の生活に興味があるみたいだ。好奇心旺盛な彼は、僕の両親に会ってみたいらしい。帰ってきたときに、
あわしてみることにした。いつも僕がする仕草、会話などどのように振る舞えばいいか伝えた。
そっと大きなドアの後ろに隠れて、会話を聞いていた。違和感なく話している。
これは使えるかもしれない。彼が僕の部屋に住んで1ヶ月がたった。入れ替わり生活に大分慣れて本当に文字通り僕がもう一人いるみたいでとっても楽しかった。
「学校に行ってみたい」
僕は快く了承した。彼が行った次の日学校に学校に行くと、
「ここ教えてよ〜」
机の周りに人が集まってくる。
「昨日一番難しい問題解いてたじゃん。」
「これくらいわかるでしょ。」
僕の知らない僕は何を昨日何をしていたのだろう。たまらなくなって、
「寝たら忘れちゃった…ごめんね。」
人たがりは見るからにがっかりして去っていった。僕は聞き逃さなかった。
「使えないの……」
人を物のようにいいやがって……
勝手に期待して勝手に失望して、何がしたいんだよ。親にテストを見せた時に似た真っ黒なドロリした怒りというか呆れたという感情が僕を飲み込んだ。
こんな日が何日も、続くと学校に行きたくなくなってしまった。
彼は僕よりもはるかに賢くて、運動もできて、