過つは彼の性、許すは我の心 壱


「お邪魔やったかいな」

「おうおう邪魔や邪魔だおれへんようになれって…座んな!」

「楽しそないな話やから俺も混ざて」


 語尾にハートが付きそうな彼は、糸目を弓形に細めて笑った。

 
凌久(しのぐ)君どうしたの?まだ授業中じゃん」


 土師凌久(はぜしのぐ)

 丸眼鏡が妙に合った秀麗な美貌。

 パープルブラックの長めの髪を下で軽くお団子で結ぶ髪型。

 一見チャラそうだけど口調が京都弁?だからなのか上品に見える。

 普通なら風紀一発アウトなのに、怒られたとこなんて見たことがない。うんん、凌久君マジック。


「そらこっちも聞きたいんだけど」


 それもそっか。


 座り直した私と渚君の前に悠々と座るマジシャン凌久に掻い摘んで先程の話をすると、


「一族中大騒ぎになっとったで、おかげさんで」

「そうなの?あれ一族って…」

「そう、俺も土師やさかいね」

「ああ」


 土だから土師ね。


「しかもこいつも本家や」

「へえ」


 もう何聞いても驚かないよ、渚君。

 凌久君は「一族会議めんどいさかい抜けて来たけど、授業初まちゃっているし、何処でサボろかなって生徒会室の前通ったら声聞こえたさかい」と言うことだったらしい。

 
「暫くはこっちにいるの?」

「うん。やから、生徒会業務やんで。つづと2人っきりで」

「わーい!本当助かる!流石生徒会の会計!」

「2人っきりは無視?」