過つは彼の性、許すは我の心 壱


 でも、それを指摘したら「え?え?俺の何処がカッコよかった?」とか食い気味に聞いてくるから絶対に言わないけど。


「つづちゃん?」

「ああううんごめんね」


 そうだ、折角渚君が答えてくれるって言ってくれたんだし。

 教えてくれそうな人に聞いてもハッキリ教えてもらえなかったり、聞くタイミングを逃したりで結局何が何だか分からなかったんだ。


「えと、ミケとか」


 そう言ったけれど…。

 渚君は柳眉を顰めて、


「つづちゃんホンマになんも聞いてへんの?」

「うん…」


 手で口元を押さえて「アイツあほやな」とここにはいない誰かに悪態をついた。

 はあー…と1つ溜息を吐いて、


「ーーー人の家の話だしあんまり詳しゅう言うんはあれなんやけど、」

「うん」

「天條にとって大事な人って意味なんや」

「ほうほう」


 それは何となく今までの流れで分かった。

 
「せやけど天條“だけ”の大事な人って意味ちゃうくって、何て言うたらええんやろう」


 言葉で何て言うべきかかなり迷っているみたいで、うーんと渚君が腕を組んで唸る。


「…天條の周囲にとって“も”大事な人って意味になんねんけど…分かるかいな」

「うーん」


 分かるような分からないような。


「天條その他分家とシチヨウ家にとっても大事な人って…あかん上手い言い方が思いつけへん」

「シチヨウ家?」