「どうしてそんなにビックリしているの?」
「いや…俺怖がらせちゃったかなーって思っちゃって」
「怖かったは怖かったけど、庇ってくれたのは本当だし」
「そっか…今も怖い?」
伺うような視線にぶぶん首を振って否と答えれば「ああ良かったあ…」と渚君は肩の力を抜いた。
「つづちゃんに嫌われたら生きていかれへん」
「そんな大袈裟な」
「大袈裟ちゃう!」
物々しい言い振りに思わず笑ってしまったが、渚君はキラキラなエフェクトまで付きそうな瞳で否定する。
「しかも帰ってきたらまさかの天條と関わっているとか、もう俺悲しくて」
「そうだ渚君って天條君家のことなんか知っているの?」
「つづちゃん全然俺の嘆き聞いてくれへん…」
私が聞きたい聞きたいという顔をしていれば「まあつづちゃんのそういうところも好きだけど」とポツンと言って、
「で、何知りたいん?」
葡萄の蔦のようなウェーブがかった髪をかきあげて答えた。
渚君の何気ないこう言う仕草って本当にカッコいい。
普段は明るい年相応の男子高校生だけど、ふと垣間見える立ち振る舞いとかが粗野に見せて全然品悪く見えないし、逆に堂に入った振る舞いに見えるから渚君もやっぱりお育ちが良いんだろうな。
偶に女の子達がキャーキャー言っている気持ちもよく分かる。



