過つは彼の性、許すは我の心 壱


「…どんな子なのか確認しに来ただけよ」

「どんな子?」

「そうよ!」


 キッとるり様が渚君を見上げて口走った言葉が、


「天條に…ミケに選ばれた女がどんなのかと思って来てみたら、こんなのだったとわね」


 一瞬にして場を凍りつけてしまった。

 ミケ。

 またこのワード。


「そうでしょう!?」


 今度はるり様はキッと自分の仲間まで睨み付ける。


「え、あその…」

「そう、です…」


 歯切れの悪い彼女達の言い方に舌打ちしそうなるり様。

 後ろから渚君が来たってことは、彼女たちは渚君が来たことを知っていて、尚且つ道を彼に譲ったってことだから、るり様がブチギレそうになるのも分かる。

 
 その時、


「おい、アンタ」

「…っ」


 ぶるりと、震えた。

 天條君や妃帥ちゃんからも時々感じる威圧感。


「アンタ本気で言ってんのか」

「え…」


 それを渚君から感じるなんて…。

 威勢が良かったるり様は渚君の威圧感に完全に萎縮。

 矛先が私じゃないって分かってはいても怖い。


「もしアンタが言うこと真実やったら、こんなんやってるのをアイツらが許すか?」

「っ」


 跪いて許しを請いたくなるような気さえする。

 相対するるり様がまだまともに立っていることにある意味感服してしまった。


「ーーー図に乗りすぎや自重せんかい」

「っ…!」