るり様の手首をしっかりと握って止める大きな手。
「久々に来てんけど、何なんやコレ」
入り口を塞ぐ彼女達の後ろから頭一つどころじゃなく2つ以上はおっきい彼は、
「渚君…」
「つづちゃん、ただいま〜」
にっこりと白い歯を見せてニカっと笑うその姿は、海に照る太陽の様に眩しい。
勇壮で堀の深い顔立ちに、日に焼けた浅黒い肌、高い上背に制服越しからでも分かる引き締まった身体。
海祇渚君。
クラスメイトであり、私の友人。
「離して!」
「これは失礼しました、先輩」
渚君は早々に手を離して「ほんで、先輩様は俺のクラスメイトに何の様やねん」とるり様に聞いた。
「そもそもこないな衆人環視の中で、しかも天條さまのお膝元で、人をぶっ叩こうなんて知られたらことやろう」
「それはっ…!」
呆れた表情でるり様を見下ろす渚君。
渚君が現れたことにより、見守っていたクラスメイト達もホッとしているのが見て取れる。
快活で、常に明るく、クラス中から好かれる渚君。
彼の存在はどんなにクラスの空気が悪くても一瞬にして明るくしてしまう、一種の清涼剤の効果を発揮する。
そんな彼が来たことによって、空気が緩和するのは当たり前のことだった。
けれど、
「それともそこまでして来た理由でもあるんか」
渚君の言葉に、



